経営者インタビュー詳細

株式会社ニトリ
専務取締役/組織開発室長 白井 俊之
vol.01

http://www.nitori.co.jp/

白井 俊之
大学卒業後の1979年にニトリ入社。
基幹店の函館店店長を経て、北海道から本州への新規出店の際、責任者として陣頭指揮しニトリの成長に大きく貢献。
ニトリの要となる自社物流責任者を経て2008年に専務取締役就任、現在は人事制度構築・社員教育・採用等の責任者。

中途半端な気持ちだった新人時代

私が入社したのは昭和54年。当時のニトリは年商は29億円、札幌市内での店舗展開に限った、まだまだ若い会社でした。本州への進出を熱く語る社長と人事 部長に会って「勢い」を感じたのが入社を決意した大きな理由でしたね。その当時から、会社は自分たちのビジョンや成長する姿を明確に見てたと思います。

その時に思ったのは舟に例えると自分たちで櫓をこがなくてはいけない会社だということです。自然に伸びていく会社ではなく、自分たちの手で伸ばしていく会社だと思いましたね。その企業文化は今も変わらないところです。

入社はしたものの、当時の実家は商売をやっており、父親が二代目だったこともあり、いつかは実家に戻って三代目として跡を継ぐのかなと、漠然とのんきに考 えていましたね。だから、熱血社員には程遠かったと思います。そんなとき、実家の廃業が決まり自分の戻る場所がなくなってしまったんです。その時から本気 で会社での自分の居場所を探しはじめたような気がします。

ニトリの一員としての自覚と誇り

入社6年目で函館店の店長に任命されました。函館店は当時、一番の人気店で売上や規模も大きな店舗でした。今から思うと20代でそんな大きな仕事を任せてもらえたのはラッキーでしたし、実力をつける期間となりました。

店長になって一番変わったのは会社に対する認識でしょうか。毎年、新人が配属されて函館店にやってきます。本社は札幌にあり、函館までは目が届かない遠い 距離です。今のようにインターネットを使ってリアルに情報交換ができていたわけでもない。そんな環境は新人にとってみればニトリとは函館店そのものという 感覚だったと思います。彼らは店長である自分の存在を通して、会社と向き合い、社会を見ているのだ。そう思ったら、目標となるような存在であろうと努力し ました。私が仕事の手を抜くと社会はこんなものかと世の中をなめてしまう。それは新人たちに対して責任のない行為だとひしひしと感じました。そのころで しょうか。それまで中途半端だった自分の中に軸が持つことができたと思います。

物流で学んだ「仕組み」つくり

函館店の店長を経て新オープン店舗のプロジェクトリーダーを経験しました。そのあと物流部門のジェネラルマネージャーになりました。当時はバブル絶頂期。 消費税が導入される時期で、消費税が上がる前に商品を購入しようとする人たちで店があふれました。商品が飛ぶように売れて、配送が追いつかない日々が続き ました。

当時、配送業界もバブル期で運転手が不足していたので本当に苦労しました。物流部門の責任者として一日中その調整に追われました。社員が夜中までかかって配達することもあり、実際に私もトラックを運転して商品をお届けしたたこともあります。

そうした修羅場をくぐり抜け、物流部門で学んだことは現場のきめ細やかなフォローを必要とする人間くさい関係と、それとは正反対の論理的な仕組み作りでし た。人と人とのつながりから学んだことは数えきれないほどありますし、またロジステックスのスキームを考えることで物流の重要性を認識でき、今日のニトリ のトータルシステムを考える上でも大きく役立っています。

現場が会社をつくる

店舗、物流など現場をずっと見てきた私が思うことは、現場がしっかりしていれば、会社が多少揺らいでも大丈夫と確信したことです。現場で支えているメン バーが会社を構成するのです。現場が一番だと学ぶことができましたし、今も変わらずそう思っています。現在でも月に10店舗ほどは店や配送センターをまわ るようにしています。その店の問題点や課題を知ることもできるし、競合店を視察できる絶好の機会でもあります。

荷物が二つあったら、迷わず重いほうを選ぶ人

日ごろから社員に話していることは「若い社員が見習ってほしくないことはするな」ということです。二つの荷物があったら、軽いほうをさっさと選び、重いほうの荷物を後輩に持たせたら、後輩はどう思うでしょうか。

大変な事柄を自ら引き受ける、その姿を実は周囲の人はよく見ています。相手を思いやり、苦労を引き受ける、そんな誠実さが必要です。

実力=意欲×能力

私は実力というのは意欲と能力を掛け合わせたものだと考えています。意欲と能力どちらが重要でしょうか。たとえば実力10の人がいたとします。できれば意 欲が5で能力が2というふうに意欲の数値が多いほうがよいと私は思います。なぜなら意欲の高い人は将来の伸び率がよいからです。その人は実力をあげ、成長 していけるものです。意欲の高さがあれば能力が他の人に劣っても最後には実力で他人をしのぐのです。

人事の最終面接で話したいこと

私は自分の役割を会社のことを伝えるメッセンジャーのようなものだととらえています。今は人事部の中で制度設計、賃金制度や評価制度などを考えていますが、それは社員が働きやすく夢を実現できるような環境や仕組みを作ることです。

ニトリでは社会人の方の採用について、中途採用とは呼ばず中間採用と呼んでいますが、そうした皆さんはニトリを「最後の会社にしたい」と思い、覚悟して入ってくるわけです。

制度設定や組織活性などの部門に所属し、実際は採用担当でない私が最終面接に入る理由は、真の会社の姿を伝える責任があるからと思っています。

中間採用の応募者は二つの不安を抱えています。ひとつは自分がこの会社で大丈夫だろうか、うまくやっていけるだろうかという不安。これは各自が一生懸命仕 事をしてもらわないと答えはでない。もうひとつは会社が不当な不利益な扱いをするかもしれない。これは私と会うことでその不安感をぬぐってもらえるなら、 時間をかけてでも話したいと思っています。

チャレンジできる環境を作ることも私たちのつとめ

人間という生き物は家族や収入など守るべきものが増えるとどんどん保守的になっていきます。それはそれでいいことでもあるのですが、失敗を恐れるあまり、 何も行動に移さないようでは成果を出すことができません。自分でやってやろうという気持ちが大事なのです。安定志向ではダメ。失敗を恐れず取り組む姿勢が 大事なのです。ニトリという会社はチャレンジして失敗することはOKですが、挑戦を恐れて動かない人に対しては厳しく接する会社です。

部署間の異動が多いことについて

部門間の異動は他社に比べると多いかもしれません。さまざまな立場を経験することはよいことであるという考えがニトリにはあります。以前に所属していた部 署の人間と意見が違っても、その部署を知っていれば相手のいうことも理解でき、よい部署間の関係ができあがることが多いと考えます。

異動の良いところは多面的に組織をみることができることです。もうひとつは固まった組織は官僚的になりますので、いつまでも柔らかい組織でいられることだ と思います。できあがったものを壊していくことがニトリの永遠の課題です。それは「スクラップアンドビルドの精神」としてこれからも続くでしょう。

求める人物像

今後も会社は成長を続けていきますが、入社する人に求める人物像は実は不変な部分があるのではないかと思っています。その部署で必要な知識や職種の経験も あればそれはすばらしいですが、たとえなくともグローバルな視点を持っている人がいいですね。人間力とでもいうべきでしょうか。

新しい地域への出店を担当するのには不動産の知識が必要と考えがちですが、実はそれよりも市場調査などの経験があり鋭い分析力を持ち、スピーディな判断の できる人が適材かもしれません。そう思うと不動産の知識は身に付くものですが、行動の本質を掘り下げるような考えができるほうが実際の仕事で活躍できると 私は考えています。

活躍の場はいたるところにあります。新しいフィールドで自分でも想像しなかった仕事を与えられるかもしれません。それを挑戦として真正面からとらえ、失敗を恐れず仕事に取り組む。
そんな人たちが生き生きと働く会社。それが私たちニトリの姿です。

株式会社スピリッツは、20代・30代で転職、海外で仕事をしたい方を支援致します。