経営者インタビュー詳細

株式会社カクヤス
代表取締役社長 佐藤 順一
vol.02

http://www.kakuyasu.co.jp/

佐藤 順一
筑波大学卒業後、祖父の代から続くカクヤス本店(現㈱カクヤス)に入社。
1993年代表取締役社長に就任、お酒のディスカウント業態からの大転換を決意し現在のビジネスモデルを構築。

会社が成長しても、企業風土を守り続けることが、経営者の仕事です

お客様に喜ばれることによって、売上利益があがっていることを忘れない

竹内(以下T):最初から失礼なお話なのですが、私は佐藤さんのお名前を、ある著名な経営者の方からご紹介いただくまで存じ上げませんでした。その方とお話をしている中で、「おもしろい会社」「おもしろい経営者」という話題になり、そのときに出たのが佐藤さんのお名前でした。私の中での「おもしろい」というのは、今後さらに成長しそうな興味深い会社・人という意味です。

佐藤社長(以下S):そうでなんですか?何がおもしろかったんでしょう?(笑)
でも、興味をお持ちいただけたのは嬉しいですね。

T:佐藤さんと出会って一年ですが、おつきあいしたいなと思った理由が二つあります。
一つは、佐藤さんの純粋なお人柄です。お話されることが大袈裟でなく、かっこつけることなく、そのまま思った通りのことをお話される。その人柄に惹かれました。そしてもう一つは、本質的なことを徹底的に大事にされているところです。「何のために会社を大きくするのですか?」とお聞きした時に、佐藤さんは「お客様のため」と即答されました。経営とは何かという本質的なことを掴んでいるから言えることであるし、「お客様のため」と言える人はたくさんいるけれど、佐藤さんのように実際に、行動に、そして経営に反映させている人は少ないと感じています。

S:私は、全ての利益や売り上げの源泉は、顧客ニーズだと思っています。そこをおきざりにして、なぜ売上げや利益をあげることに必死になっているのか理解できないんです。それは逆じゃないかと思うんですよ。お客様に喜んでもらうことで、売上利益が得られている。売上利益を上げることは大切なことだけれども、それは全てではないと思っています。それが全てでは、仕事はつまらなくなる。つまらないことは続かないと思うんです。

T:本当にそうですね。先日、御社のある中途社員の方が、入社してすぐに「この会社はすごいと思った」ある出来事をお話してくれました。システムトラブルが発覚し、社内にそのことがアナウンスされた直後、指示もされていないのに誰からともなく一斉に電話に飛びついてお客様に電話を掛け始めた。「ご迷惑をお掛けしていませんか?」と。
まずお客様のことを考える。日頃から佐藤さんが繰り返しお話されていることが、社員に浸透し、風土として確立している凄さを感じました。

経営者は社員が成長できるチャンスを与え続けなければばらないことを社員から教えられました

S:その反対に私が社員から教えられることもあります。実は、私はこの仕事を始めたとき、正直、やりたくてやった仕事ではなかったんです。親の仕事を継がなきゃいけないという義務みたいな意識だったんですね。仕事は楽なほうがいい。でも給料はちゃんともらいたいというようなタイプでした。それが親の代からいる社員に伝わったんでしょうね。
こいつには全部仕事をやらせてみろということになり、朝から夜まで、配達や仕入れや伝票整理も全てやらされました。
ちょうどその頃、入社してきた社員が、自分と同じくらい朝早い時間に出社していたので、「なんで、手当も付かないのに早く来てるの?」と聞いたら、「社長が早く出社されて、どんなことをしているのか知りたいんです。自分は転職してきて自分を変えるチャンスを探していました。社長が働く姿を見て、学んで、変われるチャンスをもらったと思っています。」と言われ、自分が教えられた。「人は変われる」ということを。だから、経営者は、部下、社員がいつでも成長するチャンスを与え続ける、いつでもチャレンジするチャンスを用意してあげる必要があると気付いた。義務感で働いていた私が、経営者として必要なことは何かということを、社員に教えられたんです。

カクヤスをブランドにするために必要な約束が、5つのSPIRITSです

T:佐藤さんがその社員の方の話を聞いて、気が付くということがすごいですね。
御社には、5SPIRITS「嘘をつかない・ごまかさない・手を抜かない・あきらめない・とどまらない」というキーワードがありますが、あのキーワードはなぜできたのですか?

S:カクヤスは、以前は安売り店でした。価格で競うことではなく他の価値でカクヤスを選んでいただくために、カクヤスはブランドにならなくてはいけないと考えました。
決して安価ではないのに人を惹きつけるブランド。例えばルイヴィトンのようなブランドです。ブランドってなんだろうと考えてできたのが、5SPIRITSです。カクヤスをブランドにするために気を付けなければいけないこと、自分がいつも思っていたことをそのまま言葉にしました。
社員も増え、自分の言葉が全ての社員に伝わりにくくなってしまい、風土を守りたいという思いからわかりやすい言葉にして表現しました。
これを徹底させたいと思っています。

T:お話を聞いていると、風土を守るためにも会社を大きくする必要はないのではないか、と感じるのですが。

S:会社が大きくなると風土も変わってしまうと諦めるのではなくて、会社の風土のエッセンスというか香りというか・・・そういうものをどのくらい残せるかが経営者の能力だと思っています。
大きくなったらつまらない会社になるのではなくて、大きくなってもおもしろい会社があってもいいんじゃないかと思う。そのためには、経営者が諦めちゃいけないと。

カクヤスで力を発揮したい。成長したい。と思える人に入社して欲しい

T:たしかにそうですね。では、その風土にこだわる佐藤さんが、成長や改革のために中途入社してきた方々へ期待することはなんでしょうか?

S:成長のため、改革のために優秀な人たちに是非入社していただきたい。
しかし、どんなに優秀な人であってもコミュニケーション力が必要だと思っています。
何十年もカクヤスで勤めている人の上に突然中途入社の方が上司として配属される。
弱いところを補強するのだからそれは仕方がないこと。ただ、その部下になった人の気持ちがわかる人、気遣える人であって欲しい。それが、私が考えるコミュニケーション力です。そして、風土やカルチャーを尊重できる人。どんなにノウハウや人脈や知識があっても、コミュニケーション力があり、風土カルチャーを尊重できる人でなければ難しいと思っています。
もう一つ大切だと思っているのは、これは全ての社員に対して譲れないことなのですが、「カクヤスで力を発揮したい。成長したい。」と思ってもらえる人にいて欲しい。
経営は、螺旋階段だと思っています。上から見るといつも同じところをグルグル回っているだけで、同じ場所に留まっている気がします。でも、視点を変えて横から見ると、実際は、少しずつかもしれないが昇っている。だから、チャレンジをして失敗しても無駄はない。
点数をつければいい点だったり悪い点だったりという差はあるかもしれないけれど、0点はないと思っています。
採用や組織改革については、何度もチャレンジをしてきましたし、これからもチャレンジするでしょう。でも、少しずつかもしれないが、人も会社も成長している。それが大事だと思います。

T:佐藤さんが一緒に働きたい人を一言で表現するとどんな人でしょう。

S:いろいろなことを共有できる度量がある人がいいですね。
立場など関係なく、偉ぶらず、見栄も張らず、わからないことはわからないと言い合えるような関係を築ける人と一緒に働きたい。
よく経営者の人が、「経営者は孤独だ。」と言っているのを耳にしますが、私は、孤独だと思ったことがないんですよ。なぜなら、いつでもなんでも共有しているから。徹底的に共有するので、孤独だと思ったことはない。最後に責任をとるのは自分だと思っているからこそ、とことん共有する。だから、私が共有することを受け止め、臆さない度量が必要だと思います。

部下を信用し、任せる。大きな決断のときのために余力をもつ。経営者として心掛けています

T:佐藤さんご自身のことについてもお聞きしたいのですが、自分自身を自己分析すると、どのような経営者だと思われますか。

S:自己分析というか、心掛けているのは[命令しない、極力任せる」ということです。命令をして部下を動かすことはせず、部下を信用し、任せる。部下の仕事のやり方を見て、正直、自分だったらそうはしないと思うこともありますが、我慢する。もし、任せて失敗してもその仕事を取り上げない。それから、「入れ込みすぎない。余力をもって物事を判断していく。」ということも心掛けています。自分の中では、30%入れ込んで、70%の余力をもつというバランスで動いていくようにしています。客観的でいることが何か大きな判断が必要になったときに冷静に正しく決断できるのだと考えています。
自分が部下だったら、余裕のない経営者を見たくないなぁと思いますから(笑)。

ビジョナリーカンパニーとは、どこに行くかではなく、誰と共に行くかが大事だとわかりました

T:経営者として大切にされていることはなんですか?

S:部下に命令しない、極力任せる経営者だと言いましたが、任せられないことが二つあります。「大きな決断」がその一つ。そして、最も大切にしているのが、「組織風土のマネジメント」です。カクヤスの組織風土を損なうことは絶対に許せない。そこは、部下に任せず経営者の仕事だと思っています。ここだけは、自分が司る必要があると強く思っているし、それができるのが経営者だとも思っています。
それから、経営者は、会社を楽しくする義務があると思っています。楽しくなければ人は力がでない。楽しいときに人は一番いいパフォーマンスがでると思います。
だから、一緒に楽しめる人に是非入社していただきたい。
なぜなら、今になってわかったことはビジョナリーカンパニーとは、「どこに行くか」ではなく、「誰と共に行くか」が大事だということ。
そういう会社にしていきたいし、そういう会社にしてくれる人と一緒に働きたいと思っています。 

日時:2008年11月25日(火)
形式:株式会社カクヤス 佐藤社長・スピリッツ社長 竹内 対談

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