経営者インタビュー詳細

株式会社カクヤス
代表取締役社長 佐藤 順一
vol.01

http://www.kakuyasu.co.jp/

佐藤 順一
筑波大学卒業後、祖父の代から続くカクヤス本店(現㈱カクヤス)に入社。
1993年代表取締役社長に就任、お酒のディスカウント業態からの大転換を決意し現在のビジネスモデルを構築。

Q:カクヤスの将来の姿を教えてください。

年間1000〜1200億を売り上げる会社になっていきたいと考えています。アルコール飲料の市場は5兆円。市場規模を考えれば、できない数字ではないと思います。

まずは当社の特徴である都市型の宅配サービスを横浜、川崎、大阪、名古屋などの主要都市で成功させたいですね。次に酒販以外の商品のラインナップの充実で す。こうした商品の拡がりを期待して食材を提供するミクリード社を買収しました。ミクリードが持つ豊富な商材がカクヤスの商品アイテム数を増やすことにつ ながります。

Q:他社にないカクヤスの強みは何でしょうか。

自社で物流部門を持っていることが一番の強みだと思います。当社は、毎日のように自社の社員が直接お客様に必要な商品を届けています。ネット販売や宅配の サービスはほとんどが宅配業者を使い、物流部門を外部に委託していることを考えると当社独自のサービスの可能性が見えてきます。お客様の玄関先から集めて きた情報は大変貴重でリアルなニーズだと思うからです。お酒や日用品といった商品だけでなく「情報」や「形のないサービス(旅行情報や保険商品、懸賞な ど)お客様が興味のあるものを提供することができると考えています。他事業会社とのコラボレーションや地域サービスの代行など可能性は無限に広がると思い ます。

Q:なぜ成長路線を行くのでしょうか

企業が成長を目指す理由は何だと思いますか?もちろん規模が大きくなれば大量に仕入れを行うことで価格交渉ができ利益率をあげることができることも考えられますが、カクヤスが企業規模を拡大したいと思う理由はただ一つです。

それはお客様へ提供できるサービスの質をあげるため。それだけです。これまで以上便利に活用いただく。商品をお待たせすることなくお届けする。そのために カクヤスは成長を続けるのです。企業が成長の過程で行き先を間違えることがあります。利益を追求することを重視するあまり顧客軽視、顧客不在の企業になっ てしまうのです。

他者への奉仕こそが健全な経営であり、顧客満足のために売上拡大があるべきだと私は思います。それ以外は売る側の都合でしかないですよ。
もっとシンプルに言うと、よい商品やサービスを提供し続ける。この挑戦はとても楽しいことでもありますね。

Q:都内の100を越える出店計画を掲げた時のことをお聞かせ下さい。

当時の関係者は全員大反対でした。取締役たちも私の話に賛成してくれなかった。今思うとそれが当たり前だと思います。当時のカクヤスは28店舗。安売りの酒屋として地域密着型のビジネスを続けながら、それなりの収益を生み出していましたから。 今の規模で安定して仕事を続ければいい。大方はそう思っていたようですが、私としてはこのままではカクヤスはつぶれる。そんな危機感でいっぱいでした。 出店を決めた1998年のアルコール飲料の市場は7兆円。これをピークに2008年の現在は5兆円市場にまで市場は減少しました。特にビールの売上高の減少は顕著です。さらに酒類販売の自由化もカクヤスにとっては厳しい現実でした。  価格競争では大手のディスカウントストアに負けてしまいます。お酒以外の商品を大量にそろえるという点ではスーパーマーケットにかないません。24時間営業のコンビニエンスストアの便利さには勝ち目がない。カクヤスが勝つのはどうしたらいいのか。 それなら「宅配」サービスで戦うしかない。23区内ではどこにも負けないサービスを提供しよう。それがカクヤスが生き残る道は唯一の道だと決断しました。

Q:そのために都内に137店舗が必要だったんですね

それまでの酒の配達といえば、配達担当地域はこの辺までという感じ。配達時間は本日中なんて適当なことを言ってる。仕事の合間や、何かのついでに配達をす るからです。配達数は1ケース以上となると一人暮らしの人はためらいますよね。これは配達する酒屋の都合で勝手に決めているわけで、お客様にとっては選択 の余地がない。だから現代の東京で酒屋の配達を利用できない人が山ほどいる。今の東京では、ピザは1時間で届くのに、一緒に飲みたいお酒が1ケース以上で 今日中には届くでしょうなどという曖昧さではお客様に受け入れられないと思いました。

カクヤスではこの曖昧さや売り手の都合を一切排除しよう。お届け時間は23区であればどこでも2時間以内、数は1本から配達しよう。と決めました。こうして配達地区と時間を考えると都内に必要な数は137店舗だったんです。
買うならカクヤスと思っていただくためには、お客様に便利と思っていただけるかどうか。そのことがすべてなのです。

Q:出店計画は順調だったとはいえない時期がありましたね

2003年ですね。この時期が今思い出すと本当に苦しかったです。私の強引とも言える出店計画で、カクヤスの店舗は100を超えましたが実態は過半数の 60店舗は赤字続き。銀行は融資を断ってくるし、売れもしない店が増えることですっかり社員の士気も下がり、一時は本当にまずい状態でした。

ただ、赤字になるにはそれなりの理由があったんです。カクヤスの提供するサービスの便利さは一度使っていただかないとご理解いただけない。一度ご利用いた だいたお客様がリピートしてくださることで初めてカクヤスの提供する価値を認めてもらえるからです。こうした顧客を増やす手法は黒字化するのに3〜4年かかるため、出店間もない店舗は経営に苦しんでいたのです。この時期は忍耐でしたね。

Q:それでも信念を曲げなかったのは?

今、ここを乗り切れば目標の「23区のどこでもお届け」のジグソーパズルが完成することが見えていたからでしょうね。

Q:赤字続きの会社の窮地を救ったものはなんだったのでしょう

宅配ビジネスの売上計画では、個人宅が対象でした。でもそれだけでは赤字が続くため苦肉の策として飲食店への営業も始めました。カクヤスには従来の業務用の商品を担当する営業マンがおり、彼らの力を借りて飲食業、居酒屋やバーなどに業務用の宅配を開始したのです。

東京23区は飲食店も多く、実は51%がこうした業務用販売、残りの49%が家庭の消費であったため、この営業戦略は成功しました。飲食店は通常、近くの 酒屋さんに発注するが、注文を忘れたり、品切れになることも多い。そんなとき、すぐに配達してくれるサービスが受け入れられ売上が順調に伸びたのです。今 思えばラッキーでした。

Q:カクヤスでこれから働こうと思う方にメッセージをお願いします

嘆かない人。否定しない人。つまりは意思力のある人。そういう人に来てもらいたいです。これから、カクヤスは「宅配サービスを強みに持つ酒屋」ではなく なっていくはずです。新しい業態、新しいサービスを提供し、これまでのイメージを一新するブランディングやマーケティングを考えていく人材が今まさに必要 なのです。足りないものはこれから作ればいいんです。そんな人を待っています。

「カクヤスがカクヤスであり続けること」に価値を見出し、さらに新しい価値を生み出す。エンジョイ・カクヤス!の精神でともに働きましょう。

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