チャレンジャーの軌跡

第14回「当たり前のことかもしれませんが、社員のことを大好きでいること。それが、人事の長としての責任だと考えています」

2009/03/09

インタビュアー:河野 恵美

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プロフィール:杉浦敬太氏

大学卒業後、1997年4月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ入社。 
店舗、エリアマネージャーを経て、2004年4月にFC人材開発室へ。ここから人事に携わる。
2006年4月から人材本部 採用グループ グループリーダーになり、
翌年は (株)TSUTAYA 執行役員に就任 。
現在は、シニアヴァイスプレジデント TSUATYA FC 事業 中四国BUSINESS UNIT LEADER、34歳。

会社批判をするまえに、まず自分がやらなきゃいけない、自分が動かなければ、何も変わらないということに気づきました

Q:杉浦さんは、CCCに新卒で入社された生え抜き社員で、すでに執行役員として活躍されています。外部から見れば、大変順風満帆な仕事人生を送ってこられたのかなと思いますが

杉浦氏(以下S):全く、その反対です。失敗と挫折の繰り返しでした(笑)。
幼少の頃、父親の仕事の関係上、米国で暮らした経験がありまして、住んでいたのが南部の田舎町で貧富の差や人種差別がかなり激しく残っているところでした。それを目の当たりにして、世界にはいろいろな価値観を持った人が生きているんだということを実感できる体験をしました。そういう環境の中で生活をしたことが、今の自分の考え方を形成している部分もあると思います。
大学に入り、幼少の頃の経験からか、世界で何が起こっているのかを自分の目で確かめたくて、20カ国以上を回るバックパッカーをやっていました。ヒッチハイクをやりながらの貧乏旅行です。貧乏人に見えたのか、騙されたり物を盗られたりなど危険なことはなく、完全に現地の人と一緒に生活するような旅でした。そんな学生生活を送っていたので、就職活動の時期になった頃に、まったく何も考えていなくて(笑)。ただ、世界で起こっている様々な出来事やドラマをもっと伝えて、それによって人の考え方が変わったり、何か感動させるようなことができたらいいなとは漠然と考えていました。
そんな時、CCCが衛星放送事業をスタートさせると聞き、大変興味を持ちました。
世界で一番大きな衛星放送会社と手を組むのであれば、大手メディアが伝えることとは異なった世界で起こっている事実を伝えることができるのでは、と思ったのが入社のきっかけです。

Q:そして、CCCに入社され、その事業に配属されたのですか?

S:いえいえ。スタートから自分の希望とはまったく違う展開となりました(笑)。まずは、ツタヤの店舗へ配属され、いきなり、アルバイトの女性スタッフから叱られることからスタートしました。いかにサボるかということばかり考えているダメな新入社員でしたから(笑)。そんな状況だったので、仕事は与えられず、時間はたっぷりある。仕事がないから、売場に出る機会が多くなり、売場でお客様と話していることが多かったですね、「杉浦君、最近いい映画ない?」とか「こんな映画は置いてないですか?」とかそんな会話ができるようになった頃、「こうやったら、お客様が喜ぶと思いますよ。」とベテランのアルバイトスタッフさんに提案したら、ようやく私の話しを聞いてくれるようになって。自分が「こうやりたい!」と主張するのではなく「こうしたら、お客様が喜んでくれるのでは?」と意見することで、みんなが納得してくれるということを学びました。
お客様のニーズを売り場に反映させることがうまくできるようになって、商品の買い出しや発注を任せてもらえるようになり、段々仕事がおもしろくなってきました。入社して3か月くらいのことです。
と思っていたら、いきなりその半年後に北海道に転勤となりました。今度は、フランチャイズ加盟店に対して、どうすれば売上があがるか、店舗運営がうまくいくかのコンサルティングの仕事です。でも、専門的なスキルノウハウが自分にあるわけではないので、コンサルティングなどできるわけもなく、担当の加盟店さん叱られることも多くて、自分は本当に仕事ができないと挫折感を味わったのがこの頃ですね。3年目くらいまで、この状態が続きました。

Q:3年ですか。満たされない時期が3年続いて、つらくはなかったですか?

S:つらかったですね。毎朝起きると、会社に行きたくない、辞めたいと思っていました。ただ、配属先の先輩がとてもいい先輩たちで、仕事もできないのに生意気な新入社員に対して「ここで辞めたらどこの会社に行っても同じ壁にぶつかるぞ。これを乗り越えるためには3年は我慢しろ。」とアドバイスをくれました。
それまでの自分は、会社の批判や愚痴ばかり言うどうしようもない社員でした。でも、入社して3年経った頃、改革のための企画書を自分なりに考えて作ってみたのがきっかけになり、会社批判をする前に、まず自分がやらなきゃいけない、自分が動かなければ何も変わらないということに気づいたんですね。誰かのせいにするのではなく、おかしいなと思ったら、まず自分で解決策を一生懸命考えて人に話してみる。そんなことをしていたら、どんどん協力してくれる人が増え、応援してくれる方もでき、そのおかげで仕事の幅も広がって光が見えてきました。
その翌年の入社4年目に、TSUTAYAの看板やしくみを一切使わない新しい店舗開発をやってみろと資金を与えられ、事業を自分で興すという大きなチャンスをもらいました。

Q:それをチャンスとみるか、とんでもない大きな責任を負わされたとみるかは、受けた方次第だと思いますが、どう感じましたか?

S:毎週、社長と副社長にプレゼンをし、毎回ダメ出しをされまして(笑)。社長はいつも厳しいことばかり言うなと思い、また不安もありましたが、おもしろいとも思っていました。

Q:結局、その事業はどのような結果に?

S:これが、大ヒットしまして。行列ができるくらいでした。その業態を2店舗からスタートさせたのですが、地方都市を中心に短期間で40店舗まで拡大し、現在では、その業態は全国各地に展開するまでになりました。この事業をスタートした頃は社内でも秘密のプロジェクトだったこともあり、「杉浦は、勝手にビジネスをやっているみたいだぞ。」という評価だったんですが、その結果から、フランチャイズ事業の大阪エリアのマネージャーに任命され、大阪に異動することになります。28歳のときのことです。
大阪は、自分というものを理解してもらうまでフランチャイズ加盟店のクライアントから認めてもらえず大変でしたが、懐に入ったらとても温かくおつきあいしていただけて。信用してもらって、「おまえに任せるから好きにやってくれ。」と言われた時は嬉しかったですね。
店舗のスタッフの方々もとても志が高い方ばかりだったので、こちらが何か指導するというよりは、教えてもらうことが多かったですね。いつもじっくりお話をしていました。閉店後にCDをケースに詰める作業を一緒にやったりもしましたね。2年間大阪にいて、異動することになったのですが、離れる時の挨拶回りで、仕事がお休みなのにアルバイトの学生さんやパートさんの方までが、みなさん駆けつけてくださってご丁寧にご挨拶やお花をいただきました。めちゃくちゃ嬉しかったですね。TSUTAYAという看板での関係のみではなくて、人と人とのつきあいができていたんだなぁと。

人事という仕事を通じて、CCCを多様な価値観を許容できる会社にしたい

Q:TSUTAYAの統括マネージャーである杉浦さんではなく、人間杉浦さんを信用してくださったんですね。現場の人は、「この人は、本当に自分達のことやお店のことを本気で考えてくれているんだろうか。」と、とてもシビアに見ていますから、現場に対する杉浦さんの熱意が伝わった結果だと思います。
大阪のあとは、人事部に異動されたのですね。

S:そうです。人事は、自分で希望しました。
社長からは、また新しい店舗開発の担当するように指示をもらったのですが、丁重にお断りをしました。自分が新しい業態開発を手掛けても、できる店舗数には限りがある。それよりも、多くの優秀な人材を集めて育成したい。そうすることによって、全国にいい店舗をたくさんつくることができるのではと思い、人事を希望しました。

Q:人事という仕事を通じて、杉浦さんがチャレンジしたいことは、どんなことですか?

S:やりたいことはたくさんあるのですが、一つは、人事という仕事を通じてCCCを多様な価値観を許容できる会社にしたいなと思っています。
所属する事業や仕事の内容が異なることで、働く価値観も異なることはあると思うのですが、お客様をハッピーにするために何ができるかという目的は一緒なので、お互いが認め合う関係を築いていけるような会社づくりをしたいと思っています。
また、人事部長の任命を受けた時に自分に課した2つの条件があります。ひとつは、この会社の将来を考える責任を持たなければいけないということ。目先のことだけでなく、3年後、5年後、会社の将来を見据えて会社が成長するためにどうしたらいいのか、それを常に考える人事でありたいと。そのためには、時には経営陣としっかり議論をしていくことが大事だと思っています。もう一つは、社員のことを大好きでいること。社員のひとりひとり、最後まで責任をもつことです。当たり前のことかもしれませんが、この2つを自分ができなくなったら、仕事を降りなきゃいけないなと思っています。それが、自分の考える人事の長としての責任です。

Q: では、この先、仕事人としては、どのようになっていきたいですか?

S:私は、自分に関わった人がみんなハッピーになってもらいたいという思いで働いています。関わった人をハッピーにすることが仕事だと。そして、常に周りの人から育ててもらっているので、その人たちに何かしらお返しができるようになりたい。ビジネス上だけでなく、気持ちも含めてそういう関係を築いていけたらとても幸せだなと思っています。どんな仕事であろうと、どんな立場であろうと。それができているうちは、仕事人としとてもハッピーです。

日時:2009年1月29日(木)
形式:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 杉浦氏・スピリッツ 河野 対談

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